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谷戸、里山は今や貴重な存在と成っていますが、そもそも多摩の原風景と言えば当にそれでした。 このブログではそんな多摩の原風景をご紹介し、未来にこの素晴らしい風景を伝える一助と成ればと思って開設しました。 また記録の意味も含めて、宅地化されて失われてしまった谷戸や、人工の谷戸や里山も紹介します。
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8eda1527.jpg
名称:子ノ神谷戸
住所:東京都八王子市鑓水
所属:多摩丘陵、厳耕地谷戸支谷
河川:大栗川源流部子ノ神谷戸川
水系:多摩川水系
鎮守:諏訪神社

自然度:3/5 景観:3/5 危険度:4/5
宅地化:2/5 荒地:4/5 農地:1/5
水田:なし 耕地:あり 公園化:なし

消失危険度:3/5

鑓水の谷戸郡は大栗川の北岸を中心に非常に良く残っている。
逆に南岸は公園化や学校、宅地化により消滅しているところが多く対照的だ。
子ノ神谷戸は現在は諏訪神社に合祀されているこの地の鎮守
子ノ神神社があったことに由来しているそうで、先述の北岸の谷戸郡の一つである。
ただ厳耕地谷戸、嫁入谷戸に比べて荒れ地が多く、荒廃した印象が強い。
中流域までは農地と宅地が点在しているが、谷頭部は近くに
霊園が開発されて尾根の一部が削られたりしたせいもあり、
夏場は立ち入ることが出来ないほどの藪になってしまっている。
冬場には道が出現するので、それに沿って入っていくと、
霊園の裏手に至り、その先には竹林が広がっている。
竹林も荒れているが、そこを抜けて行くと八王子バイパスの下に出る。
ここには使われなくなったトンネルがあり、一部では心霊スポットとして
知られた関係からか、ゴミの不法投棄と、すさまじい落書きに犯されてしまっている。

f134eb75.jpg霊園の用地がどこまでなのか、地権関係はよく分からないが、
どうせなら、この辺りは公園として整備して、墓参の際の散策コースとしても
活用するなどしたら有効利用になるのではないだろうかと思うのだが。
冬場にこの谷頭部に入ってみると、広陵とした風景と
霊園の対比が非常にアンバランスとなっていて、
何か良いアイディアは無いものかと苦い思いになる。


ちなみに荒れ地部は入れると言っても様々な危険もあるので、あまりお勧め出来ない。
またこの谷戸には小さな支谷がいくつかあるが、
そこに通称地名があるかどうかなどはよく分からなかった。

この辺りの昔の地形図は以下のリンクから
http://habs.dc.affrc.go.jp/habs_map.html?zoom=17&lat=35.61596&lon=139.34943&layers=B0F0FTTTTF

この辺りの地図は以下
 

大きな地図で見る
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3bc19551.jpg
名称:嫁入谷戸、弓射谷戸
住所:東京都八王子市鑓水
所属:多摩丘陵、嫁入谷戸本谷
河川:大栗川源流部嫁入谷戸川
水系:多摩川水系
鎮守:諏訪神社

自然度:4/5 景観:4/5 危険度:3/5
宅地化:1/5 荒地:2/5 農地:4/5
水田:あり 耕地:あり 公園化:なし

消失危険度:1/5

嫁入谷戸とは変わった名前の谷戸もあるものだと思っていたが、
これには深い理由があるようだ。
この地に昔、夜な夜な現れて舞いを踊る巫女が現れ、
村の若者が皆魅了されてしまった。
これは魔性の類だと言うことになって、屈強なものが弓を射かけると、
たちまちに姿は消え、次の日、弓に射貫かれ田に横たわる狐が発見された。
この巫女伝説に由来し「弓射谷戸」となり転訛して「嫁入谷戸」となったという説がそれだ。
大栗川を挟んだ対岸には「巫女の沢」という名前もあり、この伝説に因む名は
この地の特徴の一つとなっている。
しかし「弓射」の転訛で「嫁入」というものの、
昔から「狐の嫁入り」という言葉もあることから、もっと深い事実が元になっているのかなと
想像を掻き立てられる話である。
他の説では、鑓水商人の家に、三井家から嫁入りがあったことに因むというのもあるが、
なんとなく個人的には前者が有力な気がしてならない。

28f8b295.jpgこの谷戸はこの地域の他の谷戸と同じく
大栗川の源流部に辺り、当谷戸の水路も
そのまま他の谷戸からの水と合わさり大栗川となって
多摩川に向かって流れて行く。
この谷戸は先端部が二分岐しており、本谷と支谷ともに
現在でも耕地、水田として現役である。
支谷の入り口には植物関係の会社があり、
その脇を細い水路が流れている。
その奥に小さな耕地が広がっているが、これより先は私有地なので立ち入りは出来ない。
その分岐の正面は本谷の谷頭部となっており、水田を営まれているお宅から先は
やはり私有地なので立ち入りは出来ない。
農作業されていたりしたときは許可を貰って奥に入ることも出来るが、
奥の雑木林に入っていくと、裏の宅地へ抜ける直前に立ち入り禁止の
バリケードが施してあるので、抜けることは出来ない。
素晴らしい景観を楽しむだけにして、無闇に入ることはやはり慎みたい。

谷頭部から下流を見下ろすと、すぐ先にはニュータウンの林立する高層ビルが見えるが、
ニュータウンのほど近くなのに、鳥のさえずり、小川のせせらぎ、葉擦れの音以外には
まず余計な音が無く、非常に静かな場所だ。
この付近まで歩いてきたら、この里山の音に耳を傾けて、じっくり癒されたい。

この付近の昔の地形図は以下のリンクから
http://habs.dc.affrc.go.jp/habs_map.html?zoom=17&lat=35.62172&lon=139.35299&layers=B0F0FTTTTF

この付近の地図は以下
 

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e40ff694.jpg
名称:厳耕地谷戸、巌耕地谷戸、岸耕地谷戸、岩耕寺谷戸
発音:がんこうちやと、がんごじやと
住所:東京都八王子市鑓水
所属:多摩丘陵、厳耕地谷戸本谷
河川:大栗川源流部厳耕地谷戸川
水系:多摩川水系
鎮守:諏訪神社

自然度:3/5 景観:3/5 危険度:2/5
宅地化:3/5 荒地:2/5 農地:2/5
水田:あり 耕地:あり 公園化:一部

消失危険度:3/5

八王子市鑓水は今でも谷戸と里山の景観を色濃く残している貴重な地域で、
多摩丘陵の昔の雰囲気を肌で感じられる少ない場所の一つとなっている。
当地は鑓水のほぼ中央に位置しており、八王子バイパスの方面の尾根、
御殿山方面からの抜け道が走っている関係上、
自然豊富ながら交通量も多く、徒歩で散策していると極めて煩わしく感じる。

当地は歴史的に見ても重要な土地柄で、近くに「絹の道」という昔道があり、
絹糸の売買で財をなした鑓水商人の館などが保存されており、
これを土台とした絹の道資料館は散策の途中に是非とも寄りたい場所である。
ちなみ資料館の中には鑓水の昔の姿のジオラマがおいてあり、
当地周辺の谷戸の分布などを探る一級の資料となっている。

歴史的に重要で、ニュータウン開発地区に入らなかったことなどから、
この地は谷戸と里山の景観をとどめていると言っても良いのだが、
すぐ近くにニュータウンがあったり、
八王子方面から横浜方面を結ぶ八王子バイパスや、
16号御殿山交差点など、交通の要衝の近くにあることなどで、
開発の波は徐々に押し寄せてきている。
鑓水地区でも東谷戸、日影谷戸、巫女の沢などはすっかり宅地化が進み、
その他の谷戸にも耕作放棄から宅地化への流れが見え隠れしてきているし、
当地の小支谷も霊園開発などが行われており、
消滅までは行かなくとも、景観の変貌は着実に現実の問題となってきている。

当地では一部に水路やビオトープを作って、蛍を楽しめる場所造りの取り組みが
スタートされていたり、隣の柚木地区の公園化による里山の保護活動との
シンクロによって、様々なアイディアが入ってきているのは歓迎すべき事だろう。

歴史と里山の宝庫となって時代へ残したいものである。

この辺りの昔の地形図は以下のリンクから
http://habs.dc.affrc.go.jp/habs_map.html?zoom=17&lat=35.61974&lon=139.35001&layers=B0F0FTTTTF

この辺りの地図は以下
 

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